版画(大版)

2013年より旺玄会の公募展に応募し入選した作品の中から受賞した代表作を掲載いたします。
制作は60X90㎝の版木を用い版画用のインクを使って楮100%の桐生和紙にばれんで摺りとる方法で行っています。摺りは一回勝負でインクの付け直しや摺り直しはいたしません。バックが白くないのは未晒しの和紙の色です。 写真ごとに色味が違いますが撮影時の機材や環境の違いによるものです。

作品の上でクリックしていただくと大きく表示されます。


神域 (豊川稲荷)

2022年 第88回旺玄展
Size : 67X94 ㎝

愛知県豊川市にある豊川稲荷を題材にした作品です。狛犬の代わりにお狐様が両側に鎮座されている立派なお堂です。正式には曹洞宗の妙厳寺というお寺ですがなぜか鳥居があります。よく見ると社に向かう石畳の中心線がお堂の左側にずれているのが分かります。なぜそうなっているか分かりませんが、ちょっと不思議です。

私も旺玄会の会員から委員への推挙をいただき、委員になると作品の審査が無くなりますので、今年からは賞をいただくことが無くなり少し残念です。

いにしえ (金閣寺)

2021年 第87回旺玄展 奨励賞 受賞作
Size : 67X94 ㎝

京都の金閣寺を題材にした作品です。金閣寺は名前の通り金箔で覆われた荘厳な建物で、そのきらびやかさを如何に表現するかかなり悩んだ作品です。作品に金箔を貼り込むことも考えましたが、逆にバランスを崩すことになるのでここは思い切って白黒で摺り分けて見ました。周りの木々の緑と金色の建物の色を感じ取っていただければ幸甚です。また鏡湖池に映り込む建物が水面の波紋で揺らぐ様子を再現しております。

いにしえ (銀閣寺)


2019年 第85回記念旺玄展 85回記念賞 受賞作
Size : 67X94 ㎝

京都の銀閣寺を題材にした作品です。銀閣寺の見どころは、わび、さびを建物と庭園の調和で表現した全体の佇まいにあります。きらびやかさが無くどっしりとした建物と錦鏡池そしてそれを取り囲む木々が織りなす深淵な世界は時を忘れさせます。制作にあたり今回新たな技法を取り入れたのが杮葺き(こけらぶき)の屋根の表現方法です。薄板を重ねて葺いた杮葺きの屋根には板の層があるのでその質感を出すのに工夫が必要でした。また錦鏡池への映り込みと木々の遠近感に注意を払っております。
全体的にバランスの取れた狙い通りの作品に仕上がったと思います。

いにしえ (日光東照宮)


2018年 第84回旺玄展 奨励賞 受賞作
Size : 67X94 ㎝

修復作業が完成した日光東照宮の陽明門をモチーフにした作品です。金色に輝く屋根、鮮やかな色彩が塗られた彫刻群、その荘厳で煌びやかな姿を白黒で如何に表現するかがこの作品の命題でした。またまばゆいばかりの金色と胡粉で真っ白に塗られた部分をどのように彫り分けて表現するかにも悩みました。
今まで習得した技法を総動員し、また新たな技法を取り入れて彫り進めた結果全体の濃淡のバランスも良く、細部に付いても見応えのある良い仕上がりになりました。

ENIGMA-Ⅱ


2016年 第82回旺玄展 努力賞 受賞作
Size : 67X94 ㎝

神社の社から現れ天空に向かって昇りゆく龍の姿をモチーフにした作品です。お社は神奈川県の寒川神社で龍と縁がある神社のようです。前作のENIGMAの流れを受け題名に恥じない不可思議なものに考えを巡らせているときにひらめいた構成です。

ENIGMA


2015年 第81回旺玄展 アーティストスペースF 賞 受賞作
Size : 67X94 ㎝

東京駅の前に楠木正成像を配した構図で東京駅の精緻さと正成像の優雅さを対比させ、彫り方を変える事でそれぞれの特徴的な質感を表現しています。
題名の「ENIGMA」は英語で「謎、不可思議」との意味を持ち、東京駅前には存在しない正成像があたかもそこにあるかのような不思議さから付けた題名です。制作直後は「ILLUSION」との題名を付けたのですが、作品を見たアメリカ人の友人が一目見て「Wow This is ENIGMA!」との言葉が耳に残りENIGMAの題名で正式に発表しました。